久しぶりにタイでの仕事について書いておきます。
今回は開発者が「わかりません」「できません」の一辺倒で、さらには「わからない事がわからない」状態に陥ったので仕事の範囲を広げて任せてみたら、ちょっと円滑に進んだ話です。
事態の背景と原因
私が働いている会社では、タイ人プログラマーがWebアプリやモバイルアプリを作っています。
そして、私はそのタイ人の上司「マネージャー」にあたります。
クライアントからの要望、または最適なソリューションになるように仕様を決めて、コーディングするように指示を出していきます。
指示を出すときは、タイ人プログラマーと社内打ち合わせをし、システムの目的から解決すべき問題を共有します。
システムの目的と、解決すべき問題の共有、そして問題解決へのベクトル、さらに納期(スケジュール感)も共有できないとプロジェクトはうまく進みません。
これができていなかったのが今回の一番の原因で、タイ人プログラマーの仕事の範囲を広げて任せてみてわかったことです。
噛み合わない社内打ち合わせ
システムの目的と問題解決へのベクトルが共有できていると思い込んでいた私は、そんなことなどつゆ知らず、「こんな要望があったから、こんな仕様で作ってね」といった感じで打ち合わせを進めていきます。
そうすると、タイ人プログラマーから「わかりません」「できません」の一辺倒。
さらには、「わからない事がわからない」と言われる始末。
「わからない」なら、わからない事があるので、そこから紐解いていけますし、
「できない」なら、どうしてできないのか?代替案はないのか?と議論を進めていけます。
しかし、「わからない事がわからない」のは思考停止している証拠。
一体何しに会社来ているんだと爆発しそうになるのを抑えつつ、、、、
・・・・
抑えられきれません(笑)
しかしながら、彼らも思考停止になりたくてなっているわけではなく、これまでシステムの目的が共有できていなくて、ただ言われたことを言われた通りにコーディングするといった、超つまらない仕事になっていたことに不満があったのも事実でしょう。
その当時はシステムの目的が共有できていないことに気づいていなかったので、半ばキレ気味で、「できんのなら、自分らで要望からどうしたらいいか考えぃ!」といった感じで、要望の詳細だけを伝えて、仕様からつくるように、仕事の範囲を広げてを任せました。
仕事の範囲を広げて任せるとヤル気満々
仕事の範囲を広げてみたところ、見るからにヤル気満々になったスタッフ。
これは嬉しい誤算だったのですが、あがってきた成果物のチェックは欠かせません。
案の定、上がってきたものは私が納得できるレベルではありませんでした。
しかし、そこは改善の余地があり、またポジティブなことです。
彼らなりの方向性も私は理解できましたし、考慮が不足していたり要望通りじゃない点を補填して、私もタイ人プログラマーも納得できる状態でコーディングをすすめられるようになりました。
このときようやく、システムの目的、問題を解決するためにシステムを作っていることを共有できました。
理想は最初から目的を共有できていること
プログラマーの仕事の範囲を広げると、システムの目的が共有できるよ!みたいな流れですが、そもそもシステムの目的「なぜこのシステムが必要なのか」「解決するべき本当の問題はなんなのか」をついて共有できていれば、最初から起こらなかった問題です。
私は日本人、タイ人プログラマーはタイ人。
言葉の壁もあり、意思疎通ができたと思っていても、できていなかったりすることは良くある事です。
少しでも「伝わってないな」と思ったら、もう一度システムの目的から共有しなおす必要があります。
同じことを何回も伝えることだって、時には必要ですし、「同じこと何回も言わせるな!」とキレるのは全く効果がないことです。
それでも「わからない」の一辺倒なのであれば、思考停止しているところを起動させなければなりません。
そこは仕事の範囲を広げて任せましょう。具体的には、自分たちで考えさせたうえで代替案を出してくるように指示します。
「できない」+代替案を
プログラマーが「できない」「不可能だ」と言うのは、本当にできないケースもありますが、実は他のアプローチをしていくとできるケースもあります。
できないことはできないと言ってくれるのは正直に言ってくれている面では良いのですが、システムは問題解決、新しい価値をつくるために作っているはずです。
できないの一辺倒では良い方向へプロジェクトが進んでいきません。
プログラマーに一つ上の工程を意識させ、理想的にはさらに先のクライアントを意識させるためにも、「できない」と言うときは代替案も合わせて示すように指導をします。
これは私がクライアントとの打合せでも意識していることでもあり、クライアントの要望に真正面から対応が困難なとき、「しかしながら、こういう案もあります」と切り返すことができます。
何度か「できない」+代替案でまとまったケースもあり、私もクライアントも納得のいくように進められることができました。